連絡帳

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大きなピザがどんどんと冷めていく。

ゴムのように硬くなったモッツァレラチーズが重たそうに乗っかってなにも言わずにこちらをじっと見ている。

 

上座だとか奥の席がソファだとかそういうことは関係なくいつもわたしは入り口の見える席に座りたい。うまく当てはまる言葉がわからないけど、瞳の多動症とでも言おうかなにか常に動いてるものを見ていないと落ち着かない。それが氷が溶けるのでも、子供が走り回るのでも、誰かにキスされるのでも同じこと。壁をじっと見るのは耐えられないけど、ガラスは液体で常に動いてるんだよって教えてくれたでしょ。少しずついろんな呪縛が解けていってるような気もする。

 

そんなことないよって言うとき、本当にそんなことないんだけど、口ではそう言っていても耳に入ってくるそんなことないよって言葉はどこか嘘っぽく聞こえて、あれ?本当にそんなことないのかなって、そんなことなくなくなってくる。

 

どんなにやわらかくて大きくてあたたかい幸せをもらったって、この間もらったかたくて小さくてつめたい棘が残ってるから、そんな幸せも膨らまし粉で膨らんでるだけのスカスカな幸せに見えてしまう。

  1. ちいさな幸せをたくさんいれたビーズの枕ですんやり眠りたい
  2. 冷えた夜の透明な空にぴかぴかと瞬く色のメモを取ってる
  3. ラメ入りのペンで書いた☆(星マーク) 隣のページで流星になる
  4. 帰り道 ピンクの家の蜂の巣の蜂蜜の味がずっと気になる
  5. 台所の塩の瓶を覗いてもちっとも海の匂いがしない
  6. 口ずさむ歌がなぜかどこまでも回り続けてサビが来ない
  7.  金曜日 プラネタリウム見に行って土曜の午後の夢を見る
  8. 重々しい大使館の柵に巻くレースのリボン 108円
  9. 物陰にアレ見た気するたぶんそう自信ないけど蛇の抜け殻

二階から花束

どうにかしてしまいたい。

気持ちの追い付かない涙を、沈んでいく破れた太陽を、寄り添ってもビクともしない悲しみを。

ふとんの中で聞く雨の音は生温くて、読書灯の煌々としたのを想いながら熱でちかちかする目をぎゅっと閉じる。
悲しみの共有はより一層悲しさを募らせることになるってなんとなく知っていたけど、いっときの安心にそそのかされてつい人の悲しさに自分の悲しさを重ねてしまう。

遠い人から投げられる大きな岩よりも、近くにいる人から手渡しでもらう小さな棘の方がずっと痛くて、ちいさなたくさんの棘でしぼんでしまった心に、待ってましたとばかりに冷たい風が吹き込んできた。

そうやって泣きながら寝た次の日はどこか空が重たくてわたしも何ミリか地面に沈む。

いつまでこうやって泣くの。

 

金曜日の朝にカーテンの隙間から部屋に入る陽射しは、金色の、それはそれは暖かい色をしている。暖かいのは色だけで、ふとんの外側がしんしんと冷えているのを知っている。二度も。おかあさんが、蜘蛛を踏んだ。きのうみたく度を超えた夜ふかしをした次の日だけ早く起きられるへんてこな身体で、少し優雅に伸びをした。日々の統一感のなさ。全てがズレている。淡々と綺麗に並んでいるからこそ、ズレをおもしろいと思えるのかもしれない。抜け感しかないな。生牡蠣をずらっと並べて一気にレモンを絞って飲みたい。気に入ったものはしばらく食べつづける。目覚ましのアラーム、8時57分の次は9時3分。朝ごはんはここ最近食べてない。目玉焼きにはお醤油だよね。床を通して下のリビングから聞こえてくるくぐもったテレビの音を全身で受けとる。NASAの人!部屋に飾った紫のスイートピー花言葉をこのあと調べるんだと思う。遠くの近くに雨の予報。

雪などが積もる前に

 

楽観的にものごとを捉えるしかやりようがない。

 

電子レンジの中で冷めていく麦茶の湯気を想う。

 

イルミネーションの粒を端から数える。乱視のせいで倍綺麗。

 

頬を刺すつめたい風に立ち向かう勇気もなくて、ね。

 

おわりよければすべてよし。おわりがどこだかわかんない。

 

ぐっすり眠れ。

 

大きな飴玉がトラウマでなにが悪いの。

 

天橋立で逆立ち。

 

もうしばらく造花しか見てない気がする。

 

わたしが参加しなかったキャンプファイヤーのことを思い出す。

 

床暖房にべったりくっついて、少し経ったら裏返す。

 

どこまでも引ける弓。

 

キラキラのペンで書いた交換ノートは全部わたしが止めてる。まだ。

 

昼の蝶々。夜の蛾たち。

 

イミテーションのイミテーションはイミテーション?

 

いつもいつも自分のひとくちを見誤るひと。

 

かすかに聞こえる冬の足音。わたし、耳がいいから来年のだと思う。

 

チェックのほつれを見つけるとうれしい。

雨が雪に変わるところを見たくてパジャマにマフラーだけ巻いてベランダに出た。小さく風が吹いてしんしんと冷えていく体と裏腹に心の奥が沸々している。冬になっても庭の朝顔は屋根まで伝い、しなびた花が綺麗な青紫色で部屋を覗いてる。(2016.11.23)

 

目が覚めて一番に好きなひとに電話をかけた。雪が降ってる。薄く積もってる。11月の雪も札幌じゃめずらしくないのかな。電話は繋がんなくて、昨日の夜に明日は朝から仕事って言ってたのを思い出した。わたしも少し目が覚めてきた。雨よりかたくてやわらかい音が聞こえる。真っ白い空から真っ白い雪が真っ白い地面に落っこちるところを見てる。どっちが上でどっちが下かもあんまりわからないね。 (2016.11.24)

 

裸足のつま先がかじかんでいくのを感じながら暗いベランダでライターの火の揺らめきをじっと見つめる。煙草の煙と冬の白い息の見分けがつかない。iPhoneから流れるクリスマスソングは部屋の中に置き去りにされて、わたしは遠くの音に耳を澄ましている。本の続きが気になるけど今日はもうこのままベッドに行くつもりでいる。返事をしてない毎週末の誘いを思い出してほっとしてる。そのままわたしに慎重にならないでいてね。(2016.11.24夜)

 

剥がれてきたジェルネイルを除光液とヤスリを駆使して無理矢理落とすのももう慣れてしまった。しっくりこない爪の色にううんと唸りながら三回塗り直した。明日の準備で今日が潰れるみたいな生き方は嫌なんだけど、わたしはどうやら最近毎日がいつかの準備になってる。本当のところ夢の話しかできないよ。ここでいう夢は、寝てから起きるまでの間に見るほう。(2016.11.25)

11/21 読書大好きミスiD night

 

で、紹介した本をちゃんと紹介しなおします。

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1、ロッキンホースバレリーナ 大槻ケンヂ

 

これは端的に言うとバンギャとバンドマンの話です。

ロリータにヴィヴィアンのロッキンホースバレリーナを履いたキャラの強いバンギャと出会ったバンドマンがなぜか少しの間一緒にツアーをまわるみたいな話ですね。これを読んだのは中学生の頃で、正直内容であったり結末はきちんと覚えてないんですけど、なんというか刹那的で綺麗で超エモくて青春って感じ。

日々流れ行く時の中で重なる一瞬のことが描かれてる。人と人との関係性って、惑星みたいなものだと思っているので、それがすごくわかりやすく書かれてるかなと思います。結末マジで覚えてないんであとでもっかい読みます。

 

 

2、手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ) 穂村弘

 

穂村弘です。だいすきほむほむ。

穂村弘はエッセイも好きなんですけど、やっぱり歌人で、これがほんとに好きですね。

構成としてはまみっていうファンの女の子との歌でのやりとりなんですけど、穂村弘の短歌は短歌っぽさがない。とてもいい意味で。

俵万智が出た時もたぶんそうだったと思うんですけど)わたしちょうど産まれた年くらいかな)、そこからさらにくずれていってる。

「甘い甘いデニッシュパンを死ぬ朝も丘にのぼってたべるのでしょう」

とかすごくないですか?短歌って言われないとわからない。

ああ好きだなほむほむ。

 

 

3、家出のすすめ 寺山修司

 

これはあんまり言うことないです。

わたしの一番好きなフレーズは、

「結婚は売春の成れの果て」ってやつ。

結局のところそうなんですよね。

男の人は、自分が成功している時に結婚を考えるもの。

女の人は、自分がうまくいってないときに結婚を考えるもの。

共働きとか主夫とか言っても、女は男に養われてなんぼなんですよ。本能的にそういう風になってる。

ちなみにこれは余談ですが、わたしが両親と喧嘩した後は部屋の中で一番目につくところにこの本を置いて寝ます。

 

 

4、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 桜庭一樹

 

これはもうみんな読んだことあるんじゃないかと思う。けど、ミスiDのみなさんは逆に持ってこないんじゃないかと思って逆に持って行きました。

この本でいちばん好きな登場人物は主人公なぎさのお兄ちゃんですね。

この本は読みやすいけどちゃんと心のどこかしらに引っかかる話で、まだ読んだことのない人がいたら読んだほうがいいと思います。

 

 

5、メロウ 田口賢司

 

これはあんまりポピュラーではないんですけど、ひとつだけ好きな本をあげてくださいと言われたらわたしは迷わずこれです。

馬鹿よ貴方はっていうお笑い芸人がいるんですけど、それに似た空気です。

おもしろくて感傷的で一見意味不明でちゃんと読んでも意味不明だけど最後まで読むとなんかちょっといい話かもウケるってなる本です。

虹色の装丁も変にポップでとても似合ってる。

 

 

6、へんてこもりにいこうよ たかどのほうこ

 

低学年向けの少しだけ文字の多い絵本です。

わたしの幼少期は絵本で構成されていて、中でもたかどのほうこさんの絵本がだいすき。

これはへんてこもりシリーズの第一話目で、子供たちがへんてこもりでしりとりをしていると実在しないへんないきものたちが出てくるという話です。

わたしのお気に入りのへんないきものは「うるりんぞ」です。

 

 

7、ぼっこちゃん 星新一

 

星新一大先生。

わたしのはじめての自発的な読書は星新一ショートショートです。

この中の「月の光」という話がだいすきで、イベントでは酔いの中朗読させていただきました。

「月の光」の感じはいい意味であんまり星新一っぽくないかなと思っていて、星新一っぽさの出ている話だと「ゆきとどいた生活」が好きですね。

 

 

 

イベントで紹介したのはここまでで、でも持って行きたかった本がまだあるのでそれもここに載せておきます。

 

 

8、ロリヰタ 嶽本野ばら

 

野ばらちゃん。これも中学生の頃に読んでいた本です。

この本のB面とでも言いましょうか。

「ハネ」という話が入っていて、それが嶽本野ばら作品の中でいちばんすきです。

いつものくどいくらいの服の描写であったり、性描写もなんだか綺麗に収まって無駄なものはなにもないけど、でもやっぱり嶽本野ばらだねっていういい塩梅のところをいってます。

 

 

9、鳥葬の山 夢枕獏

 

夢枕獏の短編集です。

「柔らかい家」という話が気持ち悪くてすき。

注文の多い料理店っぽい話かなぁ。ぞわぞわとした気味の悪さがなだらかにのぼっていくから怖いもの見たさで読み進めていっちゃう感じです。

「鳥葬の山」っていうタイトルにもなってる話がわりとドキュメンタリー寄りなので、この「柔らかい家」もその延長かなって思いながら読み始めるとなにやら様子がおかしくなっていって完全にファンタジーじゃん!ってなる。

 

 

 

以上9冊でした。

 

本ってひとりで読むものだし、人に紹介したりされたりするのって結構難易度高いのかなと思っていたけどいいイベントだった…

図書館に行って「まだ読んだことのない本がこんなにある!」ってクラクラきちゃう感じがだいすきで、イベントでもみんなが一冊一冊自分の言葉で紹介していくのを聞いてわたしはクラクラきちゃってました。

第二回あったらお客さんとしていきたいな。