連絡帳

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季節を追えない夜には


陽を浴びてじんわりとあたたかい底のない泥の中で命令されたかのようにわたしはゆっくりと足を動かすふりをする
自由の利く両手もどういうわけか動かす気になれずただだらりと落ち春の夜にときおり吹くひんやりとした風にさらされうぶ毛を立てている
目は開いているが閉じていても大差ないほどに濃く気味の悪い黒が視界の全てに広がりはるか遠くで揺れる木々のざわめきがかすかにきこえる
(2016.4.23)