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ミスiD2017文芸賞をいただいて

長い長いミスiD2017が終わり、ほっとしています。

Twitterでありがとうと言ってちゃっちゃと終わりにするつもりでしたが、せっかく文芸賞とかいうかっこいい賞をいただいたので少しミスiDの話をしようと思います。

始まりはまだ肌寒い4月。もはや恒例となったミスiDの応募受付開始のツイートがRTに乗ってやってくる。今までは特になにも考えず流し見していたそれをなぜだか今年は開いてしまった。名前や誕生日、身長、趣味、特技、らへんまでは迷いなく打ち込んだが自分のスリーサイズがわからずに放置したまま気がつくと5月に。締め切りは確か5月10日だったかな?たぶんいつもならそのまま忘れて終わってたけどなんでだったかねハッと思い出し、裁縫道具の青いカンカンから引っ張り出したメジャーでスリーサイズをはかった。
友人のカメラマンけんちに無理を言って応募用に写真を撮ってもらった。
心の準備をした。いやしてないような気もする。
締め切りギリギリまでかかってたった4行の自己PR文を書いた。
ためらいなく応募ボタンを押した。
SNSでは言わなかった。牛乳寒天なつみんの応募しましたツイートを横目に見ながらいつも通り飯を食ったり酒を飲んだり相棒を見たり踊ったり本を読んだりデートをしたり卓球をしたり歌を歌ったりしていた。
そんな間に「一次とおったよー!」のメールが届き、講談社に呼ばれた。
馬鹿でかい建物の中で迷子になりながら同じく二次審査に向かう女の子と端っこの端っこのスタジオに辿りついき、わけもわからないまま熱気かはたまた空調が馬鹿なのか蒸し暑い部屋の中カメラを回され気がついたら遊びに来ていた堀越千史と帰りの電車に乗っていた。
くねくねとした長い廊下を一緒に歩いた女の子は発表されたセミファイナル一覧にはいなかった。そこで違うことといえばわたしは途中の自販機で水を買った。それだけ。暑かったもんね。
夏の最中の阿佐ヶ谷のイベントではぎゅうぎゅう詰めの控え室に奴隷船を連想させられて磯丸水産に逃げ込んだ。結構ベロベロだった。白瀬百草はベロベロベロくらいだった。正直誰もが疲れるだけのツラいイベントだったけど私物プレゼントで恋空にサインしたのは本当にいい思い出になった。一生ない経験だと思う。ありがとう。
初めからなんの根拠もなくセミファイナル止まりな気がしていたからファイナリストに残ったってわかった時はえっとなんだっけ、全然覚えてないや。とにかくちょっと驚いた。それから髪を切った。すごく痛んでいたから。
@JAMのことはあんまり記憶に残しておく必要もないかなという感じ。すごく疲れた。楽屋にいる時間が一番疲れた。
そんでもってようやく最終面接。今度は講談社の中でも迷わなかったし空調もちょうどよかった。心なしか面接を待つ女の子たちもリラックスして見えた。控え室が広かったからかな。天井も高かったな。窓の外の綺麗なピンク色の夕焼けが完全に落ちきるまでを眺めていた。でもね、くる場所を間違えたような気がした。今日だってそうだった。楽屋の女の子たちの一挙一動をどこか遠くからこっそりしっかりジッと見ていた。真正面を向いて武器なのか何なのかわからないものを一生懸命振り回す彼女たちに対して申し訳ない気持ちになっていた。今までの楽屋での居心地の悪さの正体は確実にソレだったみたい。「わたし自身は表に出なくてもいいんです」とか平然と言いながらもちゃっかりヘラヘラとファイナリストなんかやってる自分が恥ずかしくなってた。
帰りたくて仕方なかったけどこれで帰ってもいい気持ちでミスiD終われないなって思ってグッとこらえた。嘘。寝てごまかしてた。
そしたら名前を呼ばれて、「ブンゲイショウです。」って言われて、「ブンゲイショウですか。」って言って、「文芸賞です。」って言われて全部理解した。
講談社主催ミスiD2017文芸賞受賞』
なんていい響きなんだろう。なんて素晴らしいバランスなんだろう。
だってわかる?”文学”じゃなくて”文芸”賞。なんだかよぉく噛んで飲み込みたい賞だ。
わたしにとってグランプリを取るよりも意味がある気がする。
言い訳をしないでわたしだって真正面から勝負したい。
勘違いをしたまま最後まで来てたみたいだけど、ミスiDは単なるアイドルオーディションじゃなくって、サブカルオーディションでもなくて、なんかもっとすごいかなりめっちゃだいぶやばいオーディションだから各々の真正面がてんでバラバラでも許してくれる。
全部が終わって、この賞をもらえたからこそ気づけたこと。自分の中で大きなきっかけになると思う。
嬉しいからもう一回言っちゃう。
講談社主催ミスiD2017文芸賞受賞』
これからも宜しくお願いします。ありがとうございました。

 

2016.10.30 中村ちひろ