連絡帳

sssahiro@gmail.com

2016-01-01から1年間の記事一覧

雪などが積もる前に

楽観的にものごとを捉えるしかやりようがない。 電子レンジの中で冷めていく麦茶の湯気を想う。 イルミネーションの粒を端から数える。乱視のせいで倍綺麗。 頬を刺すつめたい風に立ち向かう勇気もなくて、ね。 おわりよければすべてよし。おわりがどこだか…

雨が雪に変わるところを見たくてパジャマにマフラーだけ巻いてベランダに出た。小さく風が吹いてしんしんと冷えていく体と裏腹に心の奥が沸々している。冬になっても庭の朝顔は屋根まで伝い、しなびた花が綺麗な青紫色で部屋を覗いてる。(2016.11.23) 目が覚…

11/21 読書大好きミスiD night

で、紹介した本をちゃんと紹介しなおします。 1、ロッキンホースバレリーナ 大槻ケンヂ これは端的に言うとバンギャとバンドマンの話です。 ロリータにヴィヴィアンのロッキンホースバレリーナを履いたキャラの強いバンギャと出会ったバンドマンがなぜか少し…

散り散りに

光る猫を追いかけて どこまでも どこまでも ユートピアは いつだって すり減ったローファーの底の 音に 耳を澄ませ 確かに思う キスの合間に 朝の光の はためくカーテンが 微かに色づき 夢に忘れた 時計の針を ひとつ ひとつ 拾い集めて 伸びた袖口を 通り抜…

0:38

ゆるゆると背骨の真ん中が動くような、気味の悪くも心地良い浮遊感に埋もれて、ふかふかの毛布の中で微かに汗ばむ足の裏を、外みたいに冷えた白い壁にくっつけて、高い部屋のベランダから見た朝焼けの、宇宙が透けて見えてるみたいな空の色を思い出して、冷…

買ったばかりの花を捨てる

透き通った深い紺色の夜の隣、窓越しに遠慮ない雨音が聞こえる。ツンと冷える鼻の奥にはいつのまにかすっぽりと11月がはまっているみたい。なんだか居心地の悪いままに日めくりのカレンダーは薄っぺらくなって、少しだけ着飾った殻の中でわたしの中身がカラ…

ミスiD2017文芸賞をいただいて

長い長いミスiD2017が終わり、ほっとしています。 Twitterでありがとうと言ってちゃっちゃと終わりにするつもりでしたが、せっかく文芸賞とかいうかっこいい賞をいただいたので少しミスiDの話をしようと思います。 始まりはまだ肌寒い4月。もはや恒例となっ…

よのつねよ

頭をぶつけろ 弓を引け ガラスの向こうに 手を振るな 夜の帳を ぶっ壊せ 手綱は切って ひっぱたけ とどのつまりを 追いかけろ 年を重ねて 陽が落ちる 雄弁なのは 君にだけ のぞいてごらん 日々の穴 よくきた坊主 舵を取れ よろしくどうぞ この度は 度が過ぎ…

かなしみが

明確な理由のない漠然としたかなしみの大きな大きな口の中は真っ暗で声を出したら小さく細く長く響きそうで、講談社の講堂で昼が落ちるのをぼんやり眺めていたときの落ち着かないことに落ち着いている自分をはるかかなた上の上の方の深い深い穴の奥の奥から…

黄身を箸先でぷつんと切る瞬間、傷口に血がふつふつと集まってくるまでの白い時間、鍋のお湯が小さく沸騰するなだらかな音、ホットミルクが膜を張り出す温度、そういう大切なことにもっともっと気づいていかないとわたしはだめになる。 ベランダの隅で死んで…

肩凝りのような

珈琲を飲まない理由はわたしが子供だからではなくてもうすでにそういう決まりごとができ始めているからです。まだこれは自分一人の問題だから許せるけれど、他人との間にそういう決まりごとが現れ始めると途端にうんざりしてくる。川はもちろん戻ってこない…

2016年10月5日は水曜日

わたしの右に座った左利きの女の子の話に頷きながら薄く重なったミルクレープの枚数をフォークでなぞり数える。甘いものを食べたときの後悔に近い気持ちがゆっくりじっくりとのしかかってきてるのを感じつつも砂糖を二杯入れたロイヤルミルクティーで口をゆ…

am1:43 梅酒ミルク

無色透明のグラスに氷を入れる。もともと金の薔薇の絵が入っていたグラス。花びらの多い金の薔薇の絵は何度か食洗機に放り込まれたのちに綺麗さっぱりいなくなってしまった。 冷蔵庫を開けて取り出した梅酒を、グラスの三分の一まで注ぐ。次にまだ開いてない…

遠くて近い

やっぱり現実味がない生活が気持ち悪くも心地よくて、毎日お酒を飲んでも飲まなくても曖昧に夜を明かして、これが二十歳のわたしの記憶になるなら誰よりも鮮明に覚えていたいと思える。蝉は全部死んで秋の虫が鳴いてて、もうひと月したらひとつ歳をとってま…

ハイボールの夜

0時すぎ、駅前のチェーンの居酒屋、まずいハイボールとしょっぱいポテサラ、やけに天井の高い店内はけっこう賑わってて、だけどなんでか会話はひとつも耳に入ってこない。2020年のことを想像してわたしはなんにも言葉が出てこなくなってた。4年経ったら25歳…

ほんのちいさなきっかけだとしても、わたしは大事に大事に水をやり屋根を与え愛をかけて立派なかなしみに育てあげてしまう。 些細なことほど気になるもので、ゆるやかだけど、確かに淡々と、着々と、積もっていくさらさらの砂たちは両手ですくい上げても指の…

二十歳の夏

東京は夜の7時。ラジオの向こうでは渋谷PARCOのおしまいを惜しんでて、わたしはくるくると変わる空の色を全部覚えていたくて、今もしも手を繋いでいたならぎゅっと力を込めていた。そんな夜だよ。 視線も声も仕草もなにも全てがラブレターで、人を好きってだ…

カレンダーを見ても今どこにいるのかパッとわからなくて、というか7月というところに驚いてしまって少し笑ってしまう。 7月中に宿題が終わったことなんか一度もないくせにそれができるってまだ信じてる。 夏なんてあっという間に終わっちゃうって言ってる間…

大きな夢を見た朝に

長くなりすぎた爪で返すLINEの返事は誤字だらけで、言いたいことはちっとも伝わらない。 友だちのつくったプレイリストでひとの気持ちに寄り添った気になってわたしは泣いたりする。泣いているのはわたし。そこに友だちの感情は1ミリも含まれてないのに。 季…

わたしたちはいま若い女で、みんな無条件にうつくしくてそれはつまり最強なわけです。黒々として艶やかな髪、柔らかい太もも、凛とした首すじ、うららかなうなじ、ハリのあるおっぱい、細くしなやかな指、すべすべのお腹、いま持っているものをひとつも手放…

季節を追えない夜には

陽を浴びてじんわりとあたたかい底のない泥の中で命令されたかのようにわたしはゆっくりと足を動かすふりをする自由の利く両手もどういうわけか動かす気になれずただだらりと落ち春の夜にときおり吹くひんやりとした風にさらされうぶ毛を立てている目は開い…

誰かの夢の中で

わたしは毎日恐れながらも確実にとりかえしのつかないことを重ねていっているはずなのにどうやら考えが甘いようでして、いまいち振り切れません。ただただ現実味がなくなっていくだけで、わたしはわたしなのにわたしがわたしとしているときわたしは別のわた…

心にぽっかり穴があくとかではなく 心ごとごっそりとどこかへ行ってしまったような 今よりかかっているものたちのせいなのかおかげなのか 自分の足の存在を忘れて 立っているのか浮いているのか そもそもここにいるのかここがどこなのか 全てがふたしかで 曖…

虹の直径出してみて

煙を目に染み込ませて ふちきりいっぱいのしょっぱい水を こぼさないように家まで運ぶ (2016.2.8)起きたまんまで外の空気吸うと砂浜で海を見てるみたいな気持ちになる 船に乗ってるときよりもどこにでもいけそうないことがある どこまでいってもどこにもいけ…

2/4

もっと現実味がなくなればいい天国とか地獄とか北極とか南極とかのことを考える時みたいにわたしを思い出せばいいいつだって浮き足だって霧みたくしてればいい手を伸ばしても決して触れないくらいがいい行きたいときに行きたいところへ行けばいい思い通りに…

なにを思い出しても昔のこと

最近は言葉になるより先に涙が落っこちてそこで終わってしまう。帰りの電車で泣くのももう慣れて乗り換えでわけがわからなくなったり、駅からの道の途中でタクシーを止めたりしない。-大人になることは平らになることのような気がしている。だんだん、薄々気…

ささやいていて

たぶん誰よりもなにもかもどうでもいいと思っていてきっと誰よりもなにもかも大切に思っていてじゅくじゅくの心を電車で連れまわすのはかわいそう泣きたい夜に会うには似合わない人と待ち合わせどれがデートでどれがデートじゃないとか

もっと不安にさせて

水槽を下から覗いたら水面に上から見た金魚が映ってた。-人混みでイヤホンを片方外す瞬間に息を飲むこと、ホテルのバスルームでひとりになったときのひんやりとした安心感、クラブ帰りの低い太陽に眼を細めたりするようなこと、ガラス越しに唇を近づけたり、…